音楽業界の5年先を考えてみる【前編】

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こんばんわ。

音楽業界歴15年の僕が、今後の音楽業界について語ってみるとします。移り変わりゆく業界の流れがここ最近は更に加速しており、従来の働き方では整合性が取れない環境になってきてると、そんな僕が割と真面目に向こう5年の音楽業界を予想します。ただ、長くなりそうなので、前編後編に分けて説明しようかと。

突然ですが、みなさんは音楽業界の5年後どうなってると思いますか?

個人的には、音楽のクリエイティブはどんどん自由になるし、どんどん色んな才能が自分たちでコンテンツを作って発信する時代になるだろうなと思ってます。(既に今もそうですが。)

商業音楽で飯食っていた裏方(特にレコード会社スタッフ)がどんどん働き方を変えていかなければならないと思っていてそれは必然だし、いずれそうなるだろうと思ってたら本当にそうなりそうです笑

まず、これまでの業界の図を作ってみたので、それを見ながらどう変わっていくのかを予想として若い子たちが「音楽業界の仕組み」ってどうなってるの?って謎を少しでも解明できる助けになれば。

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めちゃくちゃ簡潔にまとめているので、細かい役割や領域は省いた図になりますが、

従来の音楽業界における3事業に渡る、密な関係性。どこかの事業役割が欠けているほど昔で言うところ「インディーズ」に近づくと解釈してほしい。

ひと昔前に、レコード会社が売り文句として使っていた「メジャーデビュー」という言葉は、どう定義するとメジャーなのか?分からない人もいたかもしれないけど。基本的に上記3事業部が手を取り合って、アーティストを大ヒットさせる為に、動き出す環境が整った段階をメジャーと呼んでいた。(今は死語ですね笑)

インディーズ界隈のアーティストはこれらパイプや機会がなかったりする事で「インディーズ」と括られており、必然的に自分たちで音や映像も自主制作。事務所に所属していてもイベンターやライブ制作会社に仕事を振る事もできなかったりする事が大きく「メジャー」と「インディーズ」を分ける分岐だった。

メジャーに所属するという事はこの3事業部のパイプをフルで使えるという事であり、
関わる人が増える事でヒットへの確度を上げていくという事が「メジャー」のメリットだった。事実、当時のヒットの法則というのは最終的にレコード会社が思いっきり宣伝費を投下したり、宣伝部隊を動かしテレビの音楽番組をブッキングし、テレビを通してプロモーションをかける事で大衆に「次はこのアーティストが来る」という訴求を物理的に行ない、実際ヒットアーティストをその様に作っていた。


CDバブル期時代を過ごした音楽業界はWEBの発達により、大衆の生活習慣が変わる毎に順応し適応していくだろうと思われていたが、なぜ、今ここまで「メジャー」が廃れてしまったのかを考察してみる。

「メジャー」が大事にしてしまった負の遺産「CD」

2000年代初頭を折り返す形で、CDのセールスはピークからなだらかなセールスダウンを年々下降していくようになる。その理由としては「インターネットの普及」、「携帯電話の普及」。
当時の音楽業界ではインターネットを脅威と受け止める人は少なく、何なら「着メロとか配信でもっと俺ら儲かるんじゃね?」と言う思考に陥っていたと思う、事実2000年年代初頭では音楽業界のセールスはピークを迎える。

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ソース元:

news.yahoo.co.jp

 

僕が音楽業界で働き始めたのが2007年図のグラフでは最高潮の年にレコード会社へ入社し、働き始めた頃。当時のレコード会社と言えば「接待交際費は湯水の様に使い」、「宣伝費も桁違いに使えた」時代だ。(今考えれば楽園のような時代。。)

レコード会社各社は売上を伸ばすべく、新人を大量に契約し「数打ちゃ当たる」と言わんばかりに所属のアーティストを増やしていった【レコード会社黄金期】のである。

当時はそれなりにヒットを作れていたし、CDセールスも好調だったのだが徐々に「CDはそのうち別のメディアに変わる」と、この頃からずっと囁かれていた。年々セールスが落ちる一方様々な手法でCDを売る事になる。まず最初にCDセールスを伸ばすために打たれた施策が、今ではもはや当たり前となった映像DVDをコンパイルした形での「DVD付き商品」だ。

当時、D付商品は「なんて豪華な商品なんだ!」とユーザーからかなりの好評を買い、D付商品が一般化し定着するのは時間の問題だった。あくまでもレコード会社は商品形態を増やし、今まではCDだけで維持できていたセールス枚数の穴をD付商品で埋める事に躍起になっていた。

そんな、画期的な商品形態を生み出したのも束の間、2005年に業界の根底を覆すアイドルグループが登場する「AKB48」だ。
これまで、D付商品が一番の付加価値の高い商品だとされていたCDにアーティスト本人と握手ができる「握手券付CD」や自分の推しメンバーを応援する「投票券付CD」を生み出す事となる。

所謂「AKB商法」は2010年に初めて登場。今でも覚えているが、当時業界内では痛烈に批判されたこの商法はある意味「掟破りの販売方法」とされ、音楽業界を震撼させた。

引用: 

www.j-cast.com

そうやって、レコード会社は大事にしてきたはずの「CD」というメディアを自らの手で商品価値を落とし売上下降に拍車をかける、言わば自業自得とも言える施策の数々を打ち出していく。

レコード会社はその後も自らの首を締め続ける事になる。

ー後編へ続くー